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貧血

健康診断で貧血を指摘された33歳女性

読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
勤務先の健康診断で、「正球性正色素性貧血の疑い」と診断されました。どのような貧血なのでしょうか。(33歳女性)

この相談に対して、日本医科大病院血液内科教授である檀和夫先生は以下のようにお答えになっています。
貧血とは、体内の赤血球の量が減少している病気の総称で、その中には多くの病気が含まれています。

診断には血液検査が必要で、特殊な装置により、血液中の赤血球の数や大きさ、その中に含まれている赤い色素のヘモグロビン量などを調べます。

この検査の数値により、すべての貧血症は、赤血球が小さく色素の量が少ない「小球性低色素性貧血」、赤血球の大きさに異常はない「正球性正色素性貧血」、赤血球が大きい「大球性貧血」の三つに分けられます。

貧血とは、末梢血液中の赤血球数(RBC)、ヘモグロビン(Hb)濃度あるいはヘマトクリット(Ht)値が低下した状態を指します。一般には、成人男性でHbが 14g/dl 未満、成人女性で 12g/dl 未満、高齢者では男女ともに 11g/dl 未満を貧血とします。

貧血は、赤血球の産生低下、破壊の亢進、出血による喪失、そして体内での分布異常によって発生します。Hb濃度の低下に基づく組織の低酸素症状は共通していますが、基礎疾患にそれぞれ特有な症候があり、それらにも注意を払って鑑別診断を進めていきます。

貧血の診断では、末梢血液検査が最も重要であり、次のようにスクリーニングを行っていきます。まず、血球検査(血算)にてRBC、Hb濃度、Ht、網赤血球数(Ret)、白血球数(WBC)、血小板数を測定します。

さらに、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球血色素量(MCH)、平均赤血球血色素濃度(MCHC)を次式で求め、貧血を分類します。
MCV(fl) = Ht(%)/RBC(106/μl) × 10
MCH(pg) = Hb(g/dl)/RBC(106/μl) × 10
MCHC(%) = Hb(g/dl)/Ht(%) × 100

また、血球だけでなく、各血球の形態を観察し、形態学的変化の有無を調べます。各種貧血や骨髄異形成症候群(MDS)では、それぞれに特徴的な所見があります。また白血病では、特徴的な白血病細胞が出現してきます。

血液生化学検査では、Fe、総鉄結合能(TIBC)もしくは不飽和鉄結合能(UIBC)、フェリチン、ビタミンB12、葉酸、間接ビリルビン、LDH、ハプトグロビン(Hp)などを検査し、貧血患者を鑑別診断します。

ほかには、尿検査で腎疾患による貧血を鑑別し、便検査では、便の潜血反応を調べます。

上記のような式で、小球性貧血、正球性貧血、大球性貧血などが判明した場合、以下のような疾患が疑われます。続きを読む

本当は怖い立ちくらみ−胃癌

最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で取り上げられていた内容です。

子供も独立し、夫婦水入らずの生活を楽しんでいたT・T(57)さん。若い頃いわゆる「貧血持ち」だった彼女は、3年前に閉経して以来、貧血がすっかり治まり安心していましたが、ここ数週間、なぜか立ちくらみがぶり返すように。鉄分さえしっかり摂れば治るはずと軽く考えたT・Tさんは、レバニラ炒めなど鉄分の多い料理を食べるようにします。しかし、立ちくらみは一向に改善しないばかりか、さらなる症状が続きました。

1)立ちくらみ
2)近所に買い物へ出かけただけで動悸や息切れを感じる。
3)頭痛

症状が続くため、夫と一緒に健康診断を受けに行ったTさん。
その結果、Hb(ヘモグロビン)の値が低いと指摘され、「念のため、内視鏡検査をしましょう」と言われ、検査を行った結果、彼女に告げられた診断は胃癌でした。


胃癌が進行すると、出血(ガン細胞によって胃の粘膜が破壊され、出血が生じていました。そして本人は気付かぬまま、その血は便に混ざって排泄される)に伴う症状が出現します。

結果、便が黒色となったり、軟便傾向となります。さらに胃癌からの出血がつづき、貧血が進行すると、Tさんのように貧血による自覚症状、たとえば運動時の息切れ、易疲労感などの症状が現れてきます。さらに進行すると腫瘍の増大に伴い腹部にしこりを触れたり、食物の通過障害、閉塞症状が現れることもあります。

自覚症状による胃癌の早期発見は難しいです。ほとんどの場合、早期癌の段階では無症状であり、癌が進行してからでないとはっきりとした自覚症状が出てこないことが多いからと言われています。

診断としては、胃癌の存在自体を確認するには胃内視鏡検査かバリウムによる上部消化管X線検査が必要です。便の検査や血液検査では早期胃癌の発見は難しいです。

X線検査で異常が発見されたときも、確定診断のためには内視鏡検査が必要です。内視鏡検査で、異常とおもわれる部位を医師が発見すると、組織の一部を採取します(生検)。生検標本は病理医に送られ、ホルマリンで固定後に染料にて染色され顕微鏡下にて癌細胞の存在の有無が確認されます。

Tさんの場合、比較的早期の癌で、胃の部分切除で治癒することができたようです。
閉経した女性や貧血になりにくい男性に貧血の症状が現われた場合、まず胃癌などの消化器系の病気を疑うことが大切です。

胃癌は、日本人女性のガン死亡率で第1位を占める病だそうです。思い当たる節がありましたら、病院へ一度足を運ばれてはいかがでしょうか。

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