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O157

O157食中毒:武蔵野大などで 学食利用の36人入院

東京都西東京市の武蔵野大内の食堂で食事をした学生や付属中高生ら計36人が下痢や腹痛などの症状を訴え、東京都は28日、病原性大腸菌O157による食中毒と断定した。9人が入院し、うち大学1年の男女計2人=いずれも18歳=が溶血性尿毒症症候群を発症しているという。

都によると、調理したのは東京都調布市内の給食業者「東京学校用品」。大学敷地内にある付属女子中学、女子高校の生徒にも同じ調理場で作った料理を提供しており、食中毒患者には女子生徒12人や教職員、調理従事者も含まれている。

18日前後の料理が原因とみられ、都は28日付で業者に再発防止対策が完了するまで営業禁止の処分を出した。

会見した武蔵野大の高村寿一副学長は「委託業者が起こしたとはいえ、教育の場であり、重大な責任を感じる。二度と起こさないよう万全の対策をしたい」と話した。
(武蔵野大などでO157食中毒 学食利用の36人入院)


食中毒は、その原因になった因子・物質によって、細菌性食中毒、ウイルス性食中毒、化学性食中毒、自然毒食中毒、その他に大別されます。

今回のケースは、O-157による細菌性食中毒となっています。
O157などは、病原菌が消化管内で増殖する際に初めて毒素を生成され、これは感染型と毒素型の中間に位置するものとして、中間型食中毒と呼ばれます。

加熱の不十分な食材から感染し、100個程度という極めて少数の菌で発症し感染症・食中毒をおこします。そのため感染者の便から容易に二次感染が起こります。

この菌はベロ毒素を作り出します。ベロ毒素は、大腸の粘膜内に取り込まれたのち、リボゾームを破壊し蛋白質の合成を阻害します。蛋白欠乏状態となった細胞は死滅していくため、感染して2〜3日後に血便と激しい腹痛(出血性大腸炎)を引き起こします。また、血液中にもベロ毒素が取り込まれるため、血球や腎臓の尿細管細胞を破壊し、溶血性尿毒症症候群(急性腎不全・溶血性貧血)急性脳症なども起こることがあります。

牛などの糞便等から検出されており、その肉に付着する可能性が高いです。なお、牛に感染しても無症状とされています。

加熱に弱い菌であるため、ハンバーグ等挽肉を原材料とする食品は、その中心温度を75℃1分と同等に加熱することが、感染を防ぐため必要です。また、生レバーなどは加熱していないため、感染に弱いお年寄りやお子さんは予防のために食べないことが勧められます。

細菌を死滅させるのに最も効果が高いのは、加熱することです。ゴロ合わせとしては、O157を逆から読むと、「75℃以上で1分間加熱するとバイ菌が0になる」というものがあります。

食中毒となると、一歩間違えれば亡くなってしまう可能性もあります。くれぐれもお気をつけ下さい。

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O157超える強毒菌、国内で2例検出

北米地域で集団感染が相次いでいる死亡率の高い強毒型の腸炎細菌を、国立感染症研究所が国内の患者2人から検出していたことがわかった。

厚生労働省は、国内の医療機関での流行を防ぐため、各医療機関に院内感染防止の徹底を指示、今後、国立感染症研究所を通じて、国内の発生状況の予備調査を行う方針だ。

この細菌はクロストリジウム・ディフィシル。これまで、国内では下痢や大腸炎を引き起こす細菌として知られているが、高齢者や全身状態が悪い場合を除き、死亡することはまれだった。ところが、カナダなどで2003年ごろから、毒素をたくさん作る強毒型が流行するようになり、ケベック州の12病院では、1703人のうち、約7%にあたる117人が死亡した。この死亡率は、病原性大腸菌O157に感染した患者が重い合併症を起こした際の死亡率1〜5%よりも高い。
 
海外の流行情報を受け、感染研が保管していた試料を調べたところ、01年に関東の30歳代の男性から採取した試料と、05年に中部の30歳代の女性から採取した試料から強毒型が確認された。どちらも現在は完治している。感染経路は不明だが、2人の細菌は海外で見つかったものと同タイプだった。男性は入院歴はなく、病院以外で感染したとみられる。

感染研の荒川宜親・細菌第2部長は「抗生物質を使いすぎると、この細菌がはびこる可能性がある。強毒型での腸炎が疑われる場合、感染研で相談に乗りたい」としている。
(O157超える強毒菌、国内で2例検出)


クロストリジウム属の菌は、土壌内部や生物の腸内などの酸素濃度が低い環境に生息する偏性嫌気性菌であり、酸素存在下では増殖できません。

一般に偏性嫌気性菌は、スーパーオキシドディスムターゼやカタラーゼなどの活性酸素を無毒化する酵素を持たないため、酸素がある通常の環境下では死滅するが、クロストリジウム属の菌は酸素存在下で、耐久性の高い芽胞を作って休眠することで、死滅を免れることができます。

クロストリジウム・ディフィシレ (Clostridium difficile)は、ヒトや動物の腸内に生息します。抗生物質に比較的抵抗性で、抗生物質大量投与時に、他の腸内細菌が死滅したときに過剰に増殖して(菌交代症)、偽膜性大腸炎の原因になります。クリンダマイシン等の抗菌薬の投与を続けることによって正常細菌叢が乱れると、C. difficile が異常増殖して偽膜性大腸炎の発症に至ることになります。治療としてC. difficileに感受性をもつバンコマイシンやメトロニダゾールが用いられます。

強毒型はまだ稀ですが今後は、注意が必要となるかも知れません。

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ジョニー・デップの娘 病原性大腸菌による腎機能低下で入院

「謎の病気で入院」とされていたジョニー・デップの娘リリー・ローズだが、新作『スウィーニー・トッド』のスタッフによると、病原性大腸菌(O157)による腎機能停止が入院の原因だったようだ。

「病名を聞いたときはみんな息をのんでしまった。しばらくは生死の境をさまようほどの病状だったんだ」とある関係者はいう。リリー・ローズの看病のために撮影を一時中断していたデップだが、来週から撮影に復帰するとのこと。


大腸菌は、健康なヒトの大腸内で生息し、また環境中にも広く分布している微生物ですが、腸管出血性大腸菌O157などのように、ある種の大腸菌はヒトに下痢、腹痛などといった病気を起こします。このような、胃腸炎を起こす大腸菌を“病原大腸菌”あるいは下痢原性大腸菌と呼んでいます。

病原大腸菌は、一般的には以下の5種類に分けられています。
1)腸管病原性大腸菌(EPEC)
2)腸管組織侵入性大腸菌(EIEC)
3)腸管毒素原性大腸菌(ETEC)
4)腸管出血性大腸菌(EHEC)
5)腸管凝集接着性大腸菌(EAggEC)

O157は、腸管出血性大腸菌(EHEC)の仲間の内の一つです。血液が混じった下痢を起こすことから、腸管出血性大腸菌と呼ばれます。日本では、1996年に大阪府堺市で小学生を中心とした大きな集団事例が発生し、散発的な発生例を含めて、その年には17,877名の患者と12名の死者が発生し社会問題となったことは有名です。

症状は、腹痛と水様性の下痢として出現し、翌日に血便がでることが多いようです。嘔吐は少なく、発熱は多くは37℃台と軽度です。

潜伏期間は、一般的に3〜5日ですが感染後10日以降に発症する場合もあります。回復期間は平均8日とされていますが、一部の患者では溶血性尿毒症症候群 HUSといわれる腎臓などの障害を引き起こし重症化(死亡する場合も)、長期化する場合もあります。

ジョニーデップさんの娘さんは、溶血性尿毒症症候群 HUSになってしまわれたようです。小児や高齢者では重症化しHUSを発症する割合が比較的高く、また、EHECも重篤な場合が多いと言われていますので、ご家庭をはじめ、学校や幼稚園、保育園、老人ホーム等の施設では特に注意しなければならない菌です。

溶血性尿毒症症候群 HUSは、
1)細血管障害性溶血性貧血(破砕赤血球を伴う溶血性貧血で、Hb10g/d以下)
2)血小板減少(1万以下)
3)急性腎不全(1.5倍以上)を3つの症状をもって診断します。
 一般にHUSは腸管出血性大腸菌感染症の患者さんの約1〜10%に発症し、下痢あるいは発熱出現後4〜10日に発症することが多いようです。下痢が軽快した後に腹痛、元気がない、尿量が少ない、浮腫、出血斑、頭痛、傾眠傾向(眠りたがる)、不穏、けいれん、血尿、蛋白尿などの症状が出てくると要注意です。その後、急速に進行します。

このように下痢などが落ち着いて、一安心して発症してくることがあり、腹痛、血便の消失後、1週間は注意して、経過を観察する必要があります。患者さんの約1/4〜1/3は何らかの中枢神経症状が見られます。

治療としては、
1)輸液や利尿剤の投与
2)透析療法
3)輸血
4)高血圧に対する治療
5)中枢神経症状に対する治療
6)その他(血漿輸液、血漿交換、ガンマグロブリン、ハプトグロビンなど)
を行います。

予後としては、急性期の死亡率は約2〜5%といわれています。HUSは大半は自然治癒します。

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